HOME/コラム/中小企業の面接で失われている点
中小企業の採用

面接に100回同席して分かった、中小企業の面接で失われている点

採用支援では、面接に同席させてもらうことがよくあります。何度も横で見てきて分かったのは、中小企業の面接で失われているのは見極めの精度ではなく、その反対側だということでした。

採用支援に入ると、求人票を直し、媒体を選び、応募が来るところまでは比較的うまくいきます。それでも採れない会社があって、原因を探しに面接に同席させてもらうようになりました。

横で見ていて分かったのは、面接が「選ぶ場」としてしか設計されていないということでした。

中小企業の面接は、見極めに偏りすぎている

面接の目的を聞くと、ほぼ全員が「この人がうちに合うかを見る」と答えます。もちろん必要です。ただ、面接は同時に候補者がこの会社を選ぶかどうかを決める場でもある。

そして候補者にとっては、面接がほぼ唯一の判断材料です。求人票と面接。この2つでしか会社を測れない。にもかかわらず、面接の設計が見極め側に9割振られている会社が非常に多い。

同席していて、いちばん多かった失点

1. 社長が話しすぎる

圧倒的にこれが多いです。創業の経緯、業界の展望、経営の哲学。話し始めると止まらず、60分の面接で候補者が話した時間が10分に満たないこともありました。

結果、候補者を見極める情報も取れず、候補者の関心も測れないまま終わります。話した社長の側は「いい面接だった」という感触を持っているのが、なお厄介なところです。

2. 質問が、過去のことしか聞いていない

「前職では何を」「なぜ辞めたのか」。経歴の確認は必要ですが、これだけでは入社後に活躍するかどうかは分かりません

聞くべきは未来のことです。「うちに入ったとして、最初の3か月で何をしたいか」。この質問への答え方には、志向・理解度・仕事の進め方が全部出ます。しかも候補者の側も、入社後を具体的に想像することになる。見極めと口説きが同時に進む質問です。

3. 「あなたに来てほしい」を、言わない

これがいちばんもったいない失点です。面接後に社長が「あの人はよかった」と言うので、「本人に伝えましたか」と聞くと、言っていない。

選考中だから態度を保留しておく、という発想は分かります。ただ候補者の側は、歓迎されている実感がある会社を選びます。特に地方の中小企業は、給与や知名度で勝てない代わりに、ここで勝てる。使わない理由がありません。

中小企業の面接で足りないのは見極めの精度ではなく、「あなたに来てほしい」を口に出すことです。

面接は、選考であり同時に営業

同席してきた実感として、うまくいっている会社の面接は時間配分がはっきり違います。

  • 候補者が話す時間が、面接時間の半分以上ある
  • 会社説明は短く、代わりに候補者の関心に沿って必要な部分だけを話す
  • 未来の質問(入社後にやりたいこと)が必ず入っている
  • 面接の終わりに、次のステップと期限をその場で伝えている

私が同席した中で、面接の進め方を変えた会社では、内定辞退が減り、入社後の早期離職も減りました。

効いたのは、採用後にどんな業務を任せるのか、どこで活躍してほしいのかを、面接の場で具体的に伝えるようにしたことです。候補者を見極める場だと思っていると、この話は出てきません。相手も同時にこちらを選んでいる、という前提に立って初めて出てくる情報です。

まとめ

中小企業の面接で失われているのは、候補者に話させる時間、未来を聞く質問、そして「来てほしい」という一言です。いずれも見極めではなく、口説く側の要素です。

面接は選考の場であると同時に、会社が候補者に選ばれる場でもある。この前提を面接官が共有しているかどうかで、同じ候補者でも結果が変わります。

著書 この記事のテーマは、代表 川崎の著書『地方企業の採用は"口説き方"で決まる — 求職者の心を動かす訴求とフォローの実務』(Kindle)で詳しく扱っています。 Amazonで見る →
川崎 祐輝
AUTHOR

川崎 祐輝

合同会社MONONOFU 代表

神戸製鋼、リクルートを経て独立。支援20社以上。中小機構の採用支援、兵庫県経営者協会のリーダーシップ研修 運営委員に携わる。著書に『地方企業の採用は"口説き方"で決まる』

初回60分+2回目30分 無料相談

人事の専任者がいない会社の採用を、求人票の一行から入社後のフォローまで実務ごと支援します。