採用担当が1人もいない会社の、採用フロー設計
中小企業の採用支援で最も多い前提が「採用専任の担当者がいない」ことです。社長か、他の業務を持った社員が兼任している。この状態で回すためのフロー設計を書きます。
採用支援に入る会社の大半に、採用専任の担当者はいません。社長が全部やっているか、総務や経理の担当者が業務の合間にやっている。これが中小企業の標準です。
この状態で「採用に力を入れよう」と決めると、たいてい2か月で止まります。理由は意欲の問題ではなく、設計の問題です。
兼任が破綻するのは、判断と作業が混ざっているから
採用の仕事を並べてみると、性質の違う2種類が混ざっています。
- 判断:誰を採るか、いくら出すか、どのチャネルを使うか、この人を通すか
- 作業:応募への返信、日程調整、媒体への原稿入稿、お見送りの連絡、書類の管理
判断は代われませんが、作業はほぼすべて代われます。にもかかわらず兼任者は両方を抱えていて、作業に時間を取られて判断が遅れる。そして遅れた判断が、そのまま辞退につながります。
採用担当がいない会社が最初にやるべきは、人を増やすことではなく、採用の仕事を「判断」と「作業」に分けることです。
分けたうえで、作業側を削る
作業を洗い出すと、多くが定型です。定型なら、テンプレート化・自動化・外注のいずれかで軽くできます。
- 応募への一次返信 → テンプレート化。届いた当日に返す仕組みにする
- 日程調整 → 候補日を先に3つ出す形式にする。往復を減らすのが目的
- お見送り連絡 → 文面を用意しておく。ここを溜めると精神的な負荷で全体が止まります
- 応募者の管理 → 面談日・提案状況・次のアクションが1か所で追える形にする
私が支援先で組んだフローでは、兼任者の採用にかかる時間が、週10時間から週2時間になりました。
減ったのは面接の時間ではありません。効いたのは2つです。ひとつは、採用管理の資料を常に共有される状態にして、報告のための会議をなくしたこと。もうひとつは、日々の連絡業務をテンプレートと仕組みに寄せたこと。会議と連絡は、やっている本人にとって「仕事をした感」が残るぶん、削る判断が最後まで出てこない領域です。
社長が手放してはいけない判断
逆に、作業を渡しても社長が絶対に手放さないほうがいいものがあります。
- 採用基準を決めること。ここを人に任せると、面接ごとに基準がぶれます
- 最終的に会って口説くこと。中小企業の最大の武器です。ここを外注すると勝ち目が消えます
- 条件を決めること。給与の最終判断は経営判断です
外注すべき境界線
どこまで自社でやり、どこから外に出すか。判断の基準はシンプルで、「その作業を1か月止めたら採用が止まるか」です。
止まるもの(応募への返信、日程調整)は、確実に回る仕組みを作る。自社で回らないなら外に出す。止まらないもの(採用サイトのリニューアル、パンフレット制作)は、後回しにしてかまいません。
優先順位を間違えて、返信が3日遅れているのに採用サイトを作り直している会社を、何度か見ました。
まとめ
採用担当がいない会社の設計原則は、判断と作業を分け、作業を軽くし、判断だけを社長が持つことです。
そして手放してはいけないのは、採用基準・条件決定・最後に会って口説くこと。この3つを持ったまま作業を軽くできれば、専任者がいなくても採用は回ります。
